新生児蘇生法事務局
〒162-0845
新宿区市谷本村町2-30
日本周産期・新生児医学会
新生児蘇生法普及事業事務局
TEL:03-5228-2017
FAX:03-5228-2104
Mail:info@ncpr.jp
コンセンサス2010によるNCPR改訂に関するQ&A
<制度や講習会に関するQ&A>
Q.どのようにすれば今回の改訂の内容を知ることができますか?
Q.アップデート講習会の名前がいろいろあるようですが?
Q.コンセンサス2010年改訂による「2010インストラクターアップデート講習会」を受講しました。これから私が開催できる講習会は新しい改訂された2010年版となるのでしょう か?
Q.NCPR2010インストラクターアップデート講習を受けていないのですが、今後の開催予定はどうなっていますか?
<制度や講習会に関するQ&A>
Q.蘇生の初期処置を必要とするか、ルーチンケアでいいのかを判断する出生直後のチェックポイント項目から『胎便による羊水混濁の有無』が外されました。早産児でなく、呼吸に問題がなく、筋緊張も良好な場合、羊水混濁があってもルーチンケアに進んでいいのでしょうか?
Q.ルーチンケアは『母親のそばで』とありますが、カンガルーケアのことでしょうか?
Q.胎便による羊水混濁の確認はいつ、どのように行えばいいのでしょうか?
Q.胎便による羊水混濁があった場合の処置はどのようにするのでしょうか?
Q.胎便による羊水混濁有りの場合、気管内吸引はしてはいけないのでしょうか?
Q.パルスオキシメータは、いつ装着すればいいでしょうか?
Q.アップデート講習会の名前がいろいろあるようですが?
Q.パルスオキシメータのプローベをどこに装着すればいいですか?
Q.アップデート講習会の名前がいろいろあるようですが?
Q.パルスオキシメータは常に右手に装着しなくていけないのでしょうか?
Q.パルスオキシメータ装着後、値が表示されるまでのギャップがありますが、その間はどうしますか?
Q.パルスオキシメータを装着した際の、数値目標はありますか?
Q.パルスオキシメータの使用が推奨されることにより、酸素投与が制限されますが、逆に児が低酸素状態にさらされる危険はないのでしょうか?
Q.初期蘇生を始めてからの30秒経過したところで、呼吸と心拍数の評価に進み、『自発呼吸あり、かつ、心拍数100回/分以上だが、努力呼吸かつチアノーゼあり』の場合に、CPAPあるいは酸素投与を検討とされていますが、適応基準はありますか?
Q.CPAPを行う際に、目標圧はありますか?
Q.人工呼吸を開始する際に、ブレンダー、圧縮空気の配管がありません。空気で人工呼吸を行うにはどのようにしたらいいでしょうか?
Q.自己膨張式バックを使用する際に、酸素チューブの接続、リザーバーの使用はどうなるのでしょうか?
Q.蘇生後のケアのなかで、中等度から高度の低酸素性虚血性脳症に対しては低体温療法を考慮するとありますがどのように行うのでしょうか?
<今回の改訂で必要となる機材について>
Q.パルスオキシメータとはどんな機器ですか?
Q.パルスオキシメータにはどんな種類がありますか?
Q.プローベはどのように、どこに装着したらいいですか?
Q.酸素濃度を調節するための機器を教えてください。
Q.Tピース(レサジフロー)について教えてください。
Q.パルスオキシメータとはどんな機器ですか?
<回答>
A.コンセンサス2010日本版は、日本蘇生協議会と救急医療財団のHP、日本周産期新 生児学会HPからダウンロードできます。また、このコンセンサス2010日本語版をもとに作成された新しいNCPR2010版テキストは2010年の年末には完成予定です。2011年1月にはインストラクターマニュアルやNCPR2010年版講習会用CDやアップデート用CDと共に販売予定です。
A.アップデート講習会の種類は次の通りです。
・NCPR2010インストラクターアップデート講習会:既存インストラクターが受ける講習会
⇒ 基本は学会の蘇生委員会が主催します。受講者にはアップデートをしたことを示 す『NCPR2010』シールが配布されますから認定証の所定位置に各自で貼って下さい。
NCPR2010アップデート講習会:既存Aコース、Bコース受講済みの人が受ける講習会
⇒上記のNCPR2010インストラクターアップデート講習会を受講したインストラクターが主催出来ます。また、このインストラクターが主催するNCPR2010版のAコース又はBコースを受講された方は、アップデート講習会受講と同じにみなされます。
上記いずれも、希望する受講者にはアップデートをしたことを示す『NCPR2010』シールが主催者を介して配布されますから、お手持ちの認定証(所定の位置)に貼って下さい。
A.NCPR2010インストラクターアップデート講習会を受講済みのインストラクターは、NCPR2010版で講習を開催することができます。但し、講習会の開催に関しては下記のような決まりがあります。
2010年12月31日迄:すべての講習は2005年版(旧版)で開催する。
2011年1月1日〜12月31日迄:2005年版あるいはNCPR2010年版のどちらでも開催は可能。但し、新版テキスト発売後は、旧版のテキスト販売はありません。
2012年1月1日以降:すべての講習会はNCPR2010年版(新版)で開催しなければりません。
A.事業計画では2011年3月末迄(場所によって2011年内中)には、トレーニングサイトが東京・大阪に加え、札幌・仙台・金沢・高松・鹿児島の5ヶ所が増設され、全国合計7ヶ所になります。今後は、それぞれのサイトで新規のインストラクター養成講習会と、既存インストラクターのためのNCPR2010アップデート講習会が開催される予定です。
A.たとえ、胎便による羊水混濁があったとしても、その他の状況に問題がなければ、ル ーチンケアに進みます。ただ、気道開通には十分気をつける必要があります。
A.この『母親のそばで』は、今回の改訂で新たに加わった項目ですが、ルーチンケアを行う際に、母親と別室ではなく母親が児の様子を感じられる場所で行うことを推奨しています。カンガルーケアも、児の状態が安定していればスタッフの慎重な監視の元で、行っても支障ありません。
A.初期蘇生が必要となった場合、気道確保を行い、その後に気道開通のための処置を行 いますが、その際に、分泌物の性状の一つとして胎便の有無の確認を行うことになります。
A.気道開通の際に胎便を認めた場合は、2005年版の時と同じようにやや太めの吸引カテーテルを使用して、口腔内、鼻腔内の順で吸引を行います。その際に、胎便が多い、児の反応が悪いなど、必要と思えば2005年版で行っていた気管内吸引を実施しても構いません。
A.「胎便による羊水混濁があって、活気がある場合には気管内吸引はするべきではない」 ということはConsensus2005と同じです。Consensus2010では「胎便による羊水混濁があって、活気が無くても、ルーチンには必要なし」となりましたが、気管内吸引をしてはいけないと言うことではありません。気管内吸引に習熟している術者の場合は、蘇生の初期処置の気道開通の一環として胎便の気管内吸引を実施しても結構です。しかし従来のように呼吸をしていなくて心拍がどんどん落ちているのに気管吸引を続けると言うことは避けた方が良いでしょう。
A.初期蘇生を始めてからの30秒経過したところで、呼吸、心拍数の評価に進みますが、その時に『自発呼吸なし、あるいは心拍数100回/分未満』、『自発呼吸あり、且つ心拍数100回/分以上だが、努力呼吸かつチアノーゼあり』の場合に、パルスオキシメータの装着を考慮することになっています。しかし、現実的には初期蘇生に進んだ場合には、すでにその時に、パルスオキシメータの装着を考慮し準備をしておく、もしくは、人手があればなるべく早く装着しておくほうが安全でしょう。
A.出生直後は動脈管の影響を受けることがあります。呼吸状態を最も反映する右手に装 着することが推奨されています。
A.蘇生時には右手を原則としてください。ただし、状態が安定してきた場合、右手ではなく下肢などにプローベを付け替えても構いません。
A.『自発呼吸あり、且つ心拍数100回/分以上』あれば慌てることはありません。その上 で『努力呼吸且つチアノーゼあり』の場合には、CPAPあるいは酸素投与を検討します。 努力呼吸がない場合は、例え中心性チアノーゼが顕著であってもSpO2の値が数値目標以下であることが明らかになるまで、酸素投与は控えます。
A.コンセンサス2010の日本版には「数値目標」がありません。しかし、NCPR2010版テキストのアルゴリズム図には数値目標が記載されます。これは、出生後1分、3分、5分、10分に酸素投与を行うべき最低数値目標で、それぞれ、60%、70%、80%、90%となります。また、酸素投与を行っている場合は、95%を超えた時点で酸素投与を中止ないしは投与濃度を減少することとされています。
A.パルスオキシメータの装着から数値が正確に表示されるまで時間がかかりますし、不慣れな場合にうまく装着できない場合も考えられます。心拍が100回/分を下回ったり、無呼吸ならば人工呼吸を開始しますし、肉眼的に明らかに皮膚色が悪く、努力呼吸の兆候(陥没呼吸・呻吟・多呼吸など)があったら、低酸素状態である可能性がありますので、CPAP,酸素投与を考慮してください。ただし、パルスオキシメータの数値が正確に出るようになった時点で、酸素投与の必要性を再評価してください。
A.もし、努力呼吸症状が強い場合、空気によるCPAPを行える施設、技量があれば速やかに処置を考えましょう。空気によるCPAPを行うことができない施設の場合で酸素投与を考える場合は、心拍数が100回/分以上であることが確実ならば、まずパルスオキシメータの装着、その数値を確認することを考えましょう。今回の改訂で皮膚色が評価から外された背景には、心拍数が100回/分以上で自発呼吸があれば、それだけで児にはまだ予備力があるとの考え方があります。
A.NCPR2010版テキストには記載されますが、CPAPの目標圧設定は5-6cmH2Oとなります。また、圧損傷を避けるためにも8cmH2Oを超えないようにした方が安全でしょう。
A.今まで、流量膨脹式バックを使用していた施設では、空気配管がないと空気での人工呼吸ができなくなります。できましたら、自己膨張式バックの購入をお勧めします。
A.コンセンサス2010では正期産や正期産近くの児で人工呼吸を開始するときは空気の使用を推奨しています。それで心拍数やSpO2の改善が見られない場合や早産児では低濃度の酸素投与から開始します。自己膨張式バックではリザーバーが無ければ酸素チューブを介して100%酸素を流しても実際には高濃度酸素になりません。高濃度酸素を投与したいときはリザーバーを接続する必要があります。
A.低体温療法は、どの施設でもできるような簡単な治療ではありません。十分な設備、人員、知識、経験のある地域の中心的施設で、国際標準のプロトコールに則って行うべきものです。まずは、地域で中心的施設とどのような連携をもち行っていくかを協議することから始めましょう。
A.パルスオキシメータとは、血中を流れる血液の酸素飽和度を測定する機器です。体内では赤血球のHbによって酸素が運ばれますが、この機器では、体内のHbの内どのくらいのHbが酸素を運んでいるか(酸素飽和度)を知ることができます。通常、95%以上のHbが酸素と結合しています。
A.現在、日本ではいくつかの会社が販売しています。設置型からポータブル型までいろいろな種類があります。どのメーカーの機器でも構いませんが、必ず新生児用のプローベを使用できる機器を選択してください。
A.パルスオキシメータのプローベは、赤い光を出す発光部とそれを受ける受光部からできています。新生児用のプローベを使用し、その発光部、受光部が患児の組織を挟んで向き合うように装着します。装着部位は、出生直後の新生児の循環状態(動脈管の存在)から、右手となります。手のひらを挟んでプローベを装着すると安定性がいいかもしれません。
A.酸素濃度を調節するには、ブレンダーという酸素濃度調節の機器が必要となります。この機器には、酸素の配管に加え圧縮空気の配管が必要ですので、機器だけを購入しても使用できません。
A.欧米では蘇生時に使用されている機器です。酸素濃度の調節ができ、最大吸気圧・終末呼気圧をそれぞれ設定圧でのマスク人工呼吸ができます。また、マスク使用によるCPAPにおいても圧設定、酸素濃度設定が可能な機器です。Consensus2005の段階では日本で販売されていませんでしたが、現在では日本でも購入が可能です。
Q.どのようにすれば今回の改訂の内容を知ることができますか?
Q.アップデート講習会の名前がいろいろあるようですが?
Q.コンセンサス2010年改訂による「2010インストラクターアップデート講習会」を受講しました。これから私が開催できる講習会は新しい改訂された2010年版となるのでしょう か?
Q.NCPR2010インストラクターアップデート講習を受けていないのですが、今後の開催予定はどうなっていますか?
<制度や講習会に関するQ&A>
Q.蘇生の初期処置を必要とするか、ルーチンケアでいいのかを判断する出生直後のチェックポイント項目から『胎便による羊水混濁の有無』が外されました。早産児でなく、呼吸に問題がなく、筋緊張も良好な場合、羊水混濁があってもルーチンケアに進んでいいのでしょうか?
Q.ルーチンケアは『母親のそばで』とありますが、カンガルーケアのことでしょうか?
Q.胎便による羊水混濁の確認はいつ、どのように行えばいいのでしょうか?
Q.胎便による羊水混濁があった場合の処置はどのようにするのでしょうか?
Q.胎便による羊水混濁有りの場合、気管内吸引はしてはいけないのでしょうか?
Q.パルスオキシメータは、いつ装着すればいいでしょうか?
Q.アップデート講習会の名前がいろいろあるようですが?
Q.パルスオキシメータのプローベをどこに装着すればいいですか?
Q.アップデート講習会の名前がいろいろあるようですが?
Q.パルスオキシメータは常に右手に装着しなくていけないのでしょうか?
Q.パルスオキシメータ装着後、値が表示されるまでのギャップがありますが、その間はどうしますか?
Q.パルスオキシメータを装着した際の、数値目標はありますか?
Q.パルスオキシメータの使用が推奨されることにより、酸素投与が制限されますが、逆に児が低酸素状態にさらされる危険はないのでしょうか?
Q.初期蘇生を始めてからの30秒経過したところで、呼吸と心拍数の評価に進み、『自発呼吸あり、かつ、心拍数100回/分以上だが、努力呼吸かつチアノーゼあり』の場合に、CPAPあるいは酸素投与を検討とされていますが、適応基準はありますか?
Q.CPAPを行う際に、目標圧はありますか?
Q.人工呼吸を開始する際に、ブレンダー、圧縮空気の配管がありません。空気で人工呼吸を行うにはどのようにしたらいいでしょうか?
Q.自己膨張式バックを使用する際に、酸素チューブの接続、リザーバーの使用はどうなるのでしょうか?
Q.蘇生後のケアのなかで、中等度から高度の低酸素性虚血性脳症に対しては低体温療法を考慮するとありますがどのように行うのでしょうか?
<今回の改訂で必要となる機材について>
Q.パルスオキシメータとはどんな機器ですか?
Q.パルスオキシメータにはどんな種類がありますか?
Q.プローベはどのように、どこに装着したらいいですか?
Q.酸素濃度を調節するための機器を教えてください。
Q.Tピース(レサジフロー)について教えてください。
Q.パルスオキシメータとはどんな機器ですか?
<回答>
A.コンセンサス2010日本版は、日本蘇生協議会と救急医療財団のHP、日本周産期新 生児学会HPからダウンロードできます。また、このコンセンサス2010日本語版をもとに作成された新しいNCPR2010版テキストは2010年の年末には完成予定です。2011年1月にはインストラクターマニュアルやNCPR2010年版講習会用CDやアップデート用CDと共に販売予定です。
A.アップデート講習会の種類は次の通りです。
・NCPR2010インストラクターアップデート講習会:既存インストラクターが受ける講習会
⇒ 基本は学会の蘇生委員会が主催します。受講者にはアップデートをしたことを示 す『NCPR2010』シールが配布されますから認定証の所定位置に各自で貼って下さい。
NCPR2010アップデート講習会:既存Aコース、Bコース受講済みの人が受ける講習会
⇒上記のNCPR2010インストラクターアップデート講習会を受講したインストラクターが主催出来ます。また、このインストラクターが主催するNCPR2010版のAコース又はBコースを受講された方は、アップデート講習会受講と同じにみなされます。
上記いずれも、希望する受講者にはアップデートをしたことを示す『NCPR2010』シールが主催者を介して配布されますから、お手持ちの認定証(所定の位置)に貼って下さい。
A.NCPR2010インストラクターアップデート講習会を受講済みのインストラクターは、NCPR2010版で講習を開催することができます。但し、講習会の開催に関しては下記のような決まりがあります。
2010年12月31日迄:すべての講習は2005年版(旧版)で開催する。
2011年1月1日〜12月31日迄:2005年版あるいはNCPR2010年版のどちらでも開催は可能。但し、新版テキスト発売後は、旧版のテキスト販売はありません。
2012年1月1日以降:すべての講習会はNCPR2010年版(新版)で開催しなければりません。
A.事業計画では2011年3月末迄(場所によって2011年内中)には、トレーニングサイトが東京・大阪に加え、札幌・仙台・金沢・高松・鹿児島の5ヶ所が増設され、全国合計7ヶ所になります。今後は、それぞれのサイトで新規のインストラクター養成講習会と、既存インストラクターのためのNCPR2010アップデート講習会が開催される予定です。
A.たとえ、胎便による羊水混濁があったとしても、その他の状況に問題がなければ、ル ーチンケアに進みます。ただ、気道開通には十分気をつける必要があります。
A.この『母親のそばで』は、今回の改訂で新たに加わった項目ですが、ルーチンケアを行う際に、母親と別室ではなく母親が児の様子を感じられる場所で行うことを推奨しています。カンガルーケアも、児の状態が安定していればスタッフの慎重な監視の元で、行っても支障ありません。
A.初期蘇生が必要となった場合、気道確保を行い、その後に気道開通のための処置を行 いますが、その際に、分泌物の性状の一つとして胎便の有無の確認を行うことになります。
A.気道開通の際に胎便を認めた場合は、2005年版の時と同じようにやや太めの吸引カテーテルを使用して、口腔内、鼻腔内の順で吸引を行います。その際に、胎便が多い、児の反応が悪いなど、必要と思えば2005年版で行っていた気管内吸引を実施しても構いません。
A.「胎便による羊水混濁があって、活気がある場合には気管内吸引はするべきではない」 ということはConsensus2005と同じです。Consensus2010では「胎便による羊水混濁があって、活気が無くても、ルーチンには必要なし」となりましたが、気管内吸引をしてはいけないと言うことではありません。気管内吸引に習熟している術者の場合は、蘇生の初期処置の気道開通の一環として胎便の気管内吸引を実施しても結構です。しかし従来のように呼吸をしていなくて心拍がどんどん落ちているのに気管吸引を続けると言うことは避けた方が良いでしょう。
A.初期蘇生を始めてからの30秒経過したところで、呼吸、心拍数の評価に進みますが、その時に『自発呼吸なし、あるいは心拍数100回/分未満』、『自発呼吸あり、且つ心拍数100回/分以上だが、努力呼吸かつチアノーゼあり』の場合に、パルスオキシメータの装着を考慮することになっています。しかし、現実的には初期蘇生に進んだ場合には、すでにその時に、パルスオキシメータの装着を考慮し準備をしておく、もしくは、人手があればなるべく早く装着しておくほうが安全でしょう。
A.出生直後は動脈管の影響を受けることがあります。呼吸状態を最も反映する右手に装 着することが推奨されています。
A.蘇生時には右手を原則としてください。ただし、状態が安定してきた場合、右手ではなく下肢などにプローベを付け替えても構いません。
A.『自発呼吸あり、且つ心拍数100回/分以上』あれば慌てることはありません。その上 で『努力呼吸且つチアノーゼあり』の場合には、CPAPあるいは酸素投与を検討します。 努力呼吸がない場合は、例え中心性チアノーゼが顕著であってもSpO2の値が数値目標以下であることが明らかになるまで、酸素投与は控えます。
A.コンセンサス2010の日本版には「数値目標」がありません。しかし、NCPR2010版テキストのアルゴリズム図には数値目標が記載されます。これは、出生後1分、3分、5分、10分に酸素投与を行うべき最低数値目標で、それぞれ、60%、70%、80%、90%となります。また、酸素投与を行っている場合は、95%を超えた時点で酸素投与を中止ないしは投与濃度を減少することとされています。
A.パルスオキシメータの装着から数値が正確に表示されるまで時間がかかりますし、不慣れな場合にうまく装着できない場合も考えられます。心拍が100回/分を下回ったり、無呼吸ならば人工呼吸を開始しますし、肉眼的に明らかに皮膚色が悪く、努力呼吸の兆候(陥没呼吸・呻吟・多呼吸など)があったら、低酸素状態である可能性がありますので、CPAP,酸素投与を考慮してください。ただし、パルスオキシメータの数値が正確に出るようになった時点で、酸素投与の必要性を再評価してください。
A.もし、努力呼吸症状が強い場合、空気によるCPAPを行える施設、技量があれば速やかに処置を考えましょう。空気によるCPAPを行うことができない施設の場合で酸素投与を考える場合は、心拍数が100回/分以上であることが確実ならば、まずパルスオキシメータの装着、その数値を確認することを考えましょう。今回の改訂で皮膚色が評価から外された背景には、心拍数が100回/分以上で自発呼吸があれば、それだけで児にはまだ予備力があるとの考え方があります。
A.NCPR2010版テキストには記載されますが、CPAPの目標圧設定は5-6cmH2Oとなります。また、圧損傷を避けるためにも8cmH2Oを超えないようにした方が安全でしょう。
A.今まで、流量膨脹式バックを使用していた施設では、空気配管がないと空気での人工呼吸ができなくなります。できましたら、自己膨張式バックの購入をお勧めします。
A.コンセンサス2010では正期産や正期産近くの児で人工呼吸を開始するときは空気の使用を推奨しています。それで心拍数やSpO2の改善が見られない場合や早産児では低濃度の酸素投与から開始します。自己膨張式バックではリザーバーが無ければ酸素チューブを介して100%酸素を流しても実際には高濃度酸素になりません。高濃度酸素を投与したいときはリザーバーを接続する必要があります。
A.低体温療法は、どの施設でもできるような簡単な治療ではありません。十分な設備、人員、知識、経験のある地域の中心的施設で、国際標準のプロトコールに則って行うべきものです。まずは、地域で中心的施設とどのような連携をもち行っていくかを協議することから始めましょう。
A.パルスオキシメータとは、血中を流れる血液の酸素飽和度を測定する機器です。体内では赤血球のHbによって酸素が運ばれますが、この機器では、体内のHbの内どのくらいのHbが酸素を運んでいるか(酸素飽和度)を知ることができます。通常、95%以上のHbが酸素と結合しています。
A.現在、日本ではいくつかの会社が販売しています。設置型からポータブル型までいろいろな種類があります。どのメーカーの機器でも構いませんが、必ず新生児用のプローベを使用できる機器を選択してください。
A.パルスオキシメータのプローベは、赤い光を出す発光部とそれを受ける受光部からできています。新生児用のプローベを使用し、その発光部、受光部が患児の組織を挟んで向き合うように装着します。装着部位は、出生直後の新生児の循環状態(動脈管の存在)から、右手となります。手のひらを挟んでプローベを装着すると安定性がいいかもしれません。
A.酸素濃度を調節するには、ブレンダーという酸素濃度調節の機器が必要となります。この機器には、酸素の配管に加え圧縮空気の配管が必要ですので、機器だけを購入しても使用できません。
A.欧米では蘇生時に使用されている機器です。酸素濃度の調節ができ、最大吸気圧・終末呼気圧をそれぞれ設定圧でのマスク人工呼吸ができます。また、マスク使用によるCPAPにおいても圧設定、酸素濃度設定が可能な機器です。Consensus2005の段階では日本で販売されていませんでしたが、現在では日本でも購入が可能です。